現金主義には金庫が欠かせない

短大卒業を控え、同級生数人と卒業旅行に行こうということになった。米国史を取っていたということもあり、短い期間に地球で一番の力ある国になったアメリカの歴史に興味があった私たちは、アメリカのボストンやワシントンなど米国史に深く関わる場所を訪れることにした。私にとっては初めての海外旅行である。そこで必要なパスポートやクレジットカードを作ろうということになったのだが、思いがけずクレジットカードを作ることを母親に反対されてしまった。海外に行くなら普通はクレジットカードを作るのが当たり前と聞いていたので、どうして反対されなくてはならないのかと不思議だったが、私はそこで驚くべきことを知らされた。我が家には一枚もクレジットカードがないのだそうだ。両親とも現金主義で、家を買うときも車を買うときもローンを組まず、遺産や貯金で全て支払ったのだという。だけど海外に行くときに全て現金だなんて…。すると両親が「トラベラーズチェックがあるじゃない」と言ってきた。だけど10年以上前には当たり前のようにあったトラベラーズチェックも、もう国内では販売されていないらしい。結局クレジットカードの作成は許してもらえず、私は多額の現金を持って海外に行くことになった。どこに行くにも「スリに会ったらどうしよう」と気が気じゃなく、撮った写真の全てにカバンをがっちりつかんで離さない私の姿が写っていたのだった…。

それくらい現金主義に徹底している我が家なので、金庫が欠かせない。金庫を持っている家庭自体少ないと思うけれど、ちょっとしたセレブの家にある金庫なんかよりずっと頑丈で重量のある金庫がうちにはある。その中身を私は見せてもらったことはないけれど、見たこともないくらいの現金が入っているんだろう…ということは察しがつく。母曰く、現ナマで管理する方が節約志向が高まるのだそうだ。
両親の影響を受けて私まで現ナマ主義になりそうである。